2014年1月26日日曜日

電気羊はウェアラブルデバイスで現実と夢の区別をつけられるか?

ウェアラブル・コンピュータやその先に現れるであろうコンピュータにおける現実と記録の識別、現実と記憶の区別、またそれぞれにおいて両者の混濁を防ぐUIの実装について。

タイトルを見ると仰々しいが、要はウェアラブルに代表される視野上に見える実際の風景上に映像を重ねるコンピュータUIにおいては将来的に現実と記録の混濁が、また現実にフィットしすぎた映像加工により現実と記憶の混濁が発生しやすくなるのでその区別を容易にするUIの実装を今から考慮しておくべき、という話。



いや、単に夢をみて新しいUIへの示唆なんじゃ、と思ったから書いているだけですが。

夢の概略:夜に照明で照らされた広々とした公園で赤と白のユニホームを着たサッカーチームが、現役時代のペレやジーコがいるブラジル代表と対戦している。それを見ているとヘリコプターがそらから飛んできて強い光で公園を照らそうとする。ペレやブラジル代表が消えそうになり、近くで頬杖をつきながら芝生に寝そべった父がプレーを見ていたので父の腕につかまろうとすると父はそのままで自分の体の方が消えそうになる。というところで目が覚めた。概略ここまで。

なんでこれが新しいUIの話につながるかというと、上記のことが将来的に起きうるデバイスとして、夢を見る前に読んでいた記事を思い浮かべたからだ。

つい最近になって読んだ以下の記事によると、ウェアラブルデバイスとしてコンタクトレンズを使ったものを開発しているらしい。

ARコンタクトレンズの可能性--メガネと連携する新たなウェアラブル - CNET Japan

Google Glassのようにディスプレイ上に映像が投射されていることがすぐに認識できるデバイスとは異なり(Google Glass はメガネと同じで目との間に距離があるため、身につけている事を自己の目視で確認できる)、コンタクトレンズのように視覚と完全に一体化したデバイス(ここではコンタクトレンズをディスプレイとして使っている)の場合、UIによっては目に入ってくる周りの風景とデバイス上で表示される映像との区別がつけにくくなることが十分に起きうるし、場合によっては現実には起きていないことを現実として認識することが発生しうる。

これを上の夢の話を実現するデバイスとして使用した場合、現実の視野上に見える実際の風景の動きに対して合わせた動画(実際の記録や記憶に合わせて高度に加工された動画や3D画像)をリアルタイムで重ねて表示すれば、似たようなことが実際のUI上で体感できてしまう(発生してしまう)可能性があるから、でもある。

仮に上の夢の話で見えていた映像のうち、夜の公園と赤いユニホームのサッカー選手だけが現実であるとすれば、ペレやジーコ、ブラジル代表チーム、公園の端で寝そべっていた父やヘリコプターをリアルタイムで現実に合わせた映像として作成し、現実の風景の映像もそれに合わせてリアルタイムで加工し、それらの映像をウェアラブルデバイスのディスプレイに投射することで、さも公園で実際にブラジル代表との対戦が行われているように見せることも出来る。例えばPhotoShopには、写真上に写っているものがまるでないもののように加工される技術があるが(最近だとスマートフォン用のアプリでも同様の加工ができる)、あれが動画上でリアルタイムに適用されるぐらいの感じだと思ってくれればよい。

といっても現状ではそんなことがリアルタイムで出来るデバイスは存在していないし、またもうしばらくはできないだろう。現実の風景に重ねた時に目に見えている風景と同一の解像度でリアルタイム映像として加工した映像を重ねるなんて、ディスプレイ側の解像度も高すぎるし、また現状のコンピュータを使った映像処理としては重すぎるからだ。昨今のフルHD用の映像ならまだしも、最近になって売られるようになった4KのTVややこの先登場するであろう8Kの映像なんて、現状のコンピュータではものすごく加工時間が掛かるので、まだしばらくはそういった心配はしなくていい。

ただ、数年後から十数年後には技術的には実現されているであろうし、おそらく、今現在見ている風景にリアルタイムで加工され合わせた映像が重ねられて表示されるような技術が実現している頃には、UIやprogrammingにおいて、現実と記録の混濁だけでなく、意識と記録、現実と記憶の混濁についても考慮しなければならなくなるだろう。実現してからUIの議論をはじめても意味が無いので、今のうちに書いておくことにした次第。

ある意味ユーザビリティやアクセシビリティの話に繋がる話なんですが、そんな先の話は知らないという人はともかく、UIの実装という観点からは今のうちから考えておかないと多分間に合わない気がしたので。先日参加したhtml5j アクセシビリティ部 の勉強会 でもこういう話そのうち出てきたらいいなー(※現状SFすぎるんでたぶん無理。ところで区別のつけやすさ、というのはどういう単語で表せばいいのだろうか)。

と、無理やり話を現実につないだところで。

P.S.タイトルは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 」から電気羊と夢だけ拝借。

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